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中古農機具買取コラム

田んぼの草刈りに適した時期・農機具・コツをプロ目線で解説

草刈り時期おすすめ農機具
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更新日

田んぼの草刈り作業は、稲の品質のためにはかかせない大切な作業です。ですが、農業をしている人にとっては大きな負担です。特に個人農家や広い面積を扱う専業農家にとって、草刈りの作業時間を省力化することは自分たちが農業を続けていくために必要です。

そのためには草刈りが必要な理由を理解して、効率の良いやり方が見つかるとその後の作業もやりやすくなります。草刈りはコツをつかむことで、ぐっと作業が楽になります。今回は、田んぼの草刈りに適した時期を説明し、草刈りを楽にする農機具とコツを合わせて紹介します。

こちらもぜひ参考にしてください。
草刈機の基本的な使い方や初心者でも使いこなすコツ、メンテナンス方法まで

田んぼの草刈りに適した時期

草刈り 手作業

田んぼの草刈りには、適切な時期があります。時期を把握しておくことで、雑草の成長を抑え草刈りの最大の効果を発揮できます。田んぼの草刈りは稲の出穂時期と深い関係があります。

草刈りは年に3回。雑草が成長する前の6月下旬ごろ、秋の開花期である9月〜10月、そして冬前に枯れ草を減らすための11月〜12月が最適です。田んぼによる草刈りは、稲の出穂期の14日前まで、または10日前までに草刈りを終えます。

その理由を説明します。

6月・植え付け 14日前

田んぼの草刈りは、6月や植え付けの14日前が適切です。計画を立てて少なくとも10日前までには終わらせておくことで、その後の作業が楽になります。6月は雑草が急に大きく成長する時期です。この時期の草刈りは、雑草の成長を抑え、稲の育成を助けしっかり観察できます。

田んぼに生える雑草は、稲と同じ土壌から栄養を吸収してます。雑草のほうが成長速度が早いので、栄養分をとられすぎてしまうことも。草刈りを行うことで稲に十分な栄養を供給でき、雑草が稲と栄養を競うのを防げます。さらに田んぼ全体の管理が容易になり十分な光が当たりやすくなり、稲の光合成が促進されしっかりと成長できます。

9月~10月

9月〜10月も草刈りをしておきましょう。この時期の草刈りは、雑草が病害虫の隠れ場所になるのを防ぎ、病害虫の発生をおさえる目的があります。
秋は病害虫の活動が活発になる季節です。特にカメムシが発生すると、悪臭などの弊害もあり大変なことになります。

秋の草刈りは雑草の成長を抑え、次の植え付け時期の雑草発生を減少させ翌年の稲作に良い影響を与えます。
収穫が終わると、田んぼを次のシーズンに向けて整備することができます。
特に用水路や排水路の周りの草を刈ることで、水の流れがスムーズになり、冬季や翌春の水管理が容易になります。

11月~12月

11月~12月は、冬の間の管理準備のために草刈りをします。草刈りをすることで刈り取った草が自然に分解され枯れ草の整理を行うことで田んぼを清潔にできます。また、保土壌の肥沃度が向上します。

冬季の間に草をおいておくと、そこから害虫や病気が発生することも。来シーズンの病害虫対策に役立ちます。雑草の種が成熟する前に刈ることで、翌春の雑草の発生を抑える効果があります。

さらに、11月から12月の比較的穏やかな気候の中での草刈りが、春の忙しい農作業シーズンの負担を軽減します。草刈りをこの時期に行うのが最適です。

草刈りにおすすめな農機具

耕運機

草刈り作業は、田んぼ全体の管理をしやすくし、病害虫を予防します。作物の品質管理を図る上で非常に重要です。鎌や電動の刈り払い機などの小さい草刈り機では、農業作業者にとっては大きな負担です。そこで役立つのが、草刈り用の農機具です。

  • トラクター フレールモア
  • スパイダーモア
  • ウィングモア

草刈りにおすすめな農機具を3つ紹介します。

トラクター・フレールモア

トラクター・フレールモア

まずはトラクターの後部に装着して平地の草を刈るフレールモアです。フレールモアの刃は、ハンマーナイフタイプで、刈り取った草はチップ状の緑肥になり、残幹処理が不要です。

この機械は、農地だけでなくリンゴやブドウなど果樹園の下草刈り、休耕田、空き地、グラウンド、公園、河川敷など、さまざまな場所で使えます。雑草の草刈りに利用できます。

フレームモアに関しては、別記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。
フレールモアの種類と特徴、購入の際に注意すべき点

スパイダーモア

スパイダーモアは、長いハンドルで楽に草を刈れる自走式草刈機です。斜めの場所でも土面にしっかり密着します。斜面を上下しながら刈りとるよりも、安全で効率的に作業を進めることができます。

機種によってはハンドルが伸びるため、斜面を降りることなく安全に草刈りが可能です。平地と傾斜地の両方で草刈りができるため、身体の負担を減らせます。石、水辺、電気柵、電柱などの障害物がある場所では少々扱いにくいですが、スパイダーモアは有益な自走式草刈機です。

スパイダーモアに関しては、別記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。
【スパイダーモアの全て】あぜ草刈機の利点とメンテナンスから価格相場まで

ウィングモア

ウイングモアは、ウイング(羽)のように刈部が2つに分かれており、畦の平面と斜面を同時に刈りとれる草刈機です。スパイダーモアと同じような機能ですが、平面と斜面の両方の草刈りが同時に行えるのがウイングモアの特徴です。

ウィングモアを使うことで、うねの上を歩くだけで草刈りができるため、作業時間を短縮できます。両ハンドルで機械の方向を操作する必要はありますが、楽な姿勢で作業ができるため、身体への負担も軽減されます。

草刈りのコツ

草刈り機

田んぼの草刈りには、時期を見極めて適切な機械を使うと草刈りを効率的に行えます。草刈機は、比較的低価格で手軽に使えます。他にも雑草の種類に応じて、対応するのもコツとして覚えておくとよいでしょう。草刈りのコツの理由を説明します。

時期を見極める

田んぼに生える雑草は、稲が育つ環境を好みます。湿地と日光を好みます。代表とされるのは、ヒエ科の雑草です。ヒエは4月〜7月にかけて、草丈を伸ばすように大きくなります。7月〜10月にかけて開花し、種子をつくろうとするため、草刈りには6月〜、9月〜、11月〜がおすすめです。

農機具は使い分ける

農機具は雑草の生えている場所、草刈りをする場所によって、使い分けましょう。面積に対しての作業時間を考え農機具を選びます。例えば、大きな面積を一気に刈り取るときにはトラクターのフレームモアが便利です。あぜ道の細かな雑草を処理しなければいけないときは、スパイダーモアまたはウィングモアに変更をして作業をしましょう。場所に応じた農機具を使い分けておくことで、作業時間を効率化できます。

就農したばかりの人は電動の草刈り機で対応している人もいますが、機材が重く身体に負担となりやすいです。無理のない仕事でその後の忙しさに備えてください。

雑草の種類を見分ける

田んぼの雑草と言っても、さまざまな種類の植物の総称であり、実際には種類によって成長サイクル、出穂時期などが異なります。雑草の種類を理解することによって、適切に田んぼの草刈りができることを理解しておきましょう。

田んぼに生える雑草例

  • クワイ
  • オモダカ
  • セリ
  • コウキヤガラ
  • キシュウスズメノヒエ(イネ科)雑草
  • アシカキ (イネ科雑草)

刈り取った後の草は必ず片付ける

田んぼの雑草を、草刈りした後は必ず片付けましょう。その理由は、以下の3つ。

  • 水田や用水路を詰まらせる
  • 害虫の繁殖の場となって環境に影響を及ぼす
  • 悪臭が発生する

刈り取った草が、水田や用水路に落ちてしまった場合は、作業後に必ず拾い上げてください。

草を放置してはいけない理由

農業用水路

田んぼの草刈りをしたときに、刈り取った草は近くに放置してはいけません。雑草が稲の生育に影響します。もし草が水田や用水路に落ちてしまった場合は、作業後に必ず拾い上げてください。

田んぼに生える雑草は、イネ科に属するものが多く、雑草の成長点は根本にあり、地面を刈ってもすぐに再成長します。そのため、あぜ道にはイネ科雑草のみが残ることになります。

刈り取った草は、腐敗し栄養となることもありますが病害虫も引き寄せます。そうすると稲の生育や品質に支障をきたしたりなどが起こります。用水路憎さを放置した場合は、詰まって水の流れが悪くなる原因にも繋がります。

刈り取った草を放置してはいけない理由を説明します。

生育が悪くなる

田んぼの草刈りをしないと、稲の生育が悪くなります。田んぼに生える雑草は、稲と同じ栄養分を吸収します。そのため雑草が生い茂ると、本来いきわたるべき水や養分が稲に回らなくなるのです。

雑草の中には、水や養分だけでなく日光も奪う場合があります。風通しも悪くなるため、稲の病気が発生することも増えます。雑草があることで、作物への影響は計り知れないので、草刈りはきちんと行いましょう。

害虫が発生する

田んぼの草刈りをしないと、稲の害虫であるカメムシが発生します。カメムシは稲の穂を好んで食るため、米に黒い斑点が付く「斑点米」になってしまいます。見た目に影響するだけでなく、米の食味低下、等級低下などにもつながります。

また、雑草を放置するとミミズ・モグラが発生してしまうことがあります。食物連鎖の流れで、草が腐ってきて、それを餌とするミミズが大量発生。ミミズが発生すると、ミミズを餌とするモグラがきます。モグラは、あぜに穴を掘られてしまうリスクが高まります。あぜが決壊すると田んぼに大きな被害が出ることになるため注意が必要です。

農作物の草刈りは適切な時期に行う

あぜ道の草刈り機

田んぼの草刈りは、適切な時期に行うことで田んぼの品質向上につながります。稲の作付けのスケジュールと草刈りを合わせて考えておくとよいでしょう。6月ごろ、9月ごろ、11月ごろは雑草の成長期でもあるので、その時点で成長を抑えておくことで田んぼを守れます。

雑草は、稲の成長に大きな影響を与えます。草刈りを行うときに、適切な農機具を使うことで作業の効率が上がりぐっと楽になります。トラクターのフレールモアやスパイダーモア、ウィングモアを使い分けて効率化を図りましょう。

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この記事を書いた人
田中 和男
田中 和男

卒業後、地元のJAに就職し30年以上農機センターで勤務。 定年退職後、自ら中古農機事業を立ち上げて地元を中心に販売・買取やレンタルを行う。 農業機械1級整備士の資格あり。 自らも兼業農家として実家の農業を50年近くやっています。

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