中古農機具買取コラム
【専門家に聞く】田植え機をキレイに洗浄する手順とポイント

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田植え機は、農業における重要な道具の一つです。しかし、多くの場合、これらの機械は年に数日しか使われず、それ以外の時間は、倉庫で保管されるか、あるいは野ざらしで眠っていることが多いです。
これは、機械が不適切な状態で保管される可能性があるため、いざ使うときに故障や不調の原因となることがあります。
故障や不調にならないようにするためには、適切なメンテナンスとしっかりとした洗浄が必要です。そこで、この記事では田植え機の洗浄方法について詳しく解説します。
目次
田植え機の不調はメンテナンスで予防できる
田植え機に発生する多くの不調は、メンテナンス不足に起因します。
ここでは、発生しやすいトラブルごとに、考えられる原因を解説します。
・植え付け不良
・施肥ムラや肥料詰まり
・エンジンの不調
・苗のせ台の動作不良
それぞれ見ていきましょう。
植え付け不良
植え付けがうまくいかない場合は、メンテナンス不足が原因の可能性があります。
よくある不調と原因部位は、以下のとおりです。
| 不調 | おもな原因部位 |
| 苗が抜ける・倒れる | 植付爪の摩耗・変形 |
| 苗が2本同時に刺さる | 植付アームのタイミングのズレ リンク部のガタつき |
| 苗が飛ぶ・刺さらない | 植え付けの深さ調整のズレ スプリングのへたり |
| 植え間隔が不均一 | 駆動チェーン・ベルトの伸び スプロケットの摩耗 |
このような不調を防ぐためには、植付爪や植付アームのこまめな点検が必要です。
施肥ムラや肥料詰まり
施肥関連のトラブルは、生育や収穫量に直結するため、未然に防ぐことが大切です。
発生しがちな不調や原因部位をまとめました。
| 不調 | おもな原因部位 |
| 肥料が出ない | ローラーの回転不足・固着 肥料の固結 |
| 施肥ムラがある | 調整レバーのズレ 施肥ブラシの摩耗・変形 |
| 肥料が詰まりやすい | シャッターの開閉不良 施肥ホースの詰まり |
まずは、湿気による肥料の固着や、施肥部の清掃不足を疑いましょう。
機械内部の点検や掃除を習慣化することで、大部分のトラブルは予防できます。
エンジンの不調
エンジンの不調は、翌シーズンの使用開始時に気づくケースが多いでしょう。
よくあるトラブルと考えられる原因は、以下のとおりです。
| 不調 | おもな原因部位 |
| エンジンがかからない | 燃料フィルター詰まり |
| エンジンが途中で止まる | 燃料への異物混入 |
| 回転が不安定 | キャブレターや噴射ポンプの汚れ エアフィルター詰まり |
エンジンは田植え機の寿命に大きく影響するため、とくに定期点検が重要な箇所だといえます。
苗のせ台の動作不良
苗のせ台の不調は、田植え作業全体に支障をきたします。
作業の中断を防ぐためにも、不調の原因を確認しておきましょう。
| 不調 | おもな原因部位 |
| 苗が送られない | モーターの動作不良 ローラーの固着など |
| 苗が引っかかる・ズレる | ベルトの汚れ・テンション不足 ローラーの摩耗など |
泥や苗くずの清掃をこまめに行い、ベルト・チェーンのテンションを定期的に確認しておけば、多くの動作不良は予防できます。
グリス不足が原因となることも多いため、汚れを取り除いたときは注油の必要性も同時にチェックしましょう。
田植え機のメンテナンス方法

田植え機はメンテナンスをしっかりと施すことが重要です。ここでは、田植え機のメンテナンス方法を、作業別に解説します。
洗浄
まず、田植え機を洗浄する際には以下の部分を重点的に洗浄するようにしましょう。
●植え付け部分の爪
●機械の隅々
●回転する軸
これらの部分は泥が詰まりやすく、その結果摩耗が激しくなる可能性があります。これらの部分を中心に、高圧洗浄機などで下から水を当てて泥をしっかりと落とすことが重要です。
その他にも、植え付け部やスライド部分も丁寧に洗うべき箇所となります。植え付け部の洗浄の際には、エンジンをかけて植え付け部を動かしながら洗浄することがポイントです。動かしながらおこなうことで、隅々まで行き届きます。
乾燥
その後、機械全体をしっかりと乾かすことが非常に重要です。これは、水分が残ると錆びる原因となるからです。天気のいい日に外で各部を動かしながら1時間程度乾燥に時間をかけることが重要です。
しっかりと乾燥できているかどうかは、水滴が残っているかどうかを確認しましょう。水滴がなくなっていればしっかりと乾燥できている証拠です。
油やグリスの塗布
乾燥したら、次に油やグリスを塗布します。これにより、部品の摩耗を防ぎ、長期的なパフォーマンスを維持することができます。
田植え機を長持ちさせるためにも、特に乾燥とグリスアップは必ずおこなってください。
エンジンオイル交換
エンジンを長持ちさせ、田植え機の寿命を延ばすうえで欠かせないメンテナンスです。
オイル交換は、以下の頻度を目安に行いましょう。
| 初回 | 新車使用後20時間〜50時間 |
| 以後の周期 | 50時間〜100時間ごと、またはシーズン1回 |
エンジンオイル交換の手順は、以下のとおりです。
1.マフラーやエンジンオイルが十分に冷えたことを確認する
2.ドレンボルトを外し、オイルを排出する
2.ドレンボルトを締め、新しいオイルを規定量入れる
4.エンジンを始動し、漏れがないことを確認する
「シーズンの前または後に毎年交換する」など、スパンを決めておくと交換忘れを予防できます。
シーズン途中でも、アワーメーターを見て交換時間に達している場合や、汚れが目立つ場合は交換しましょう。
オイルフィルター交換
オイルフィルターには、エンジンオイルの汚れを取り除く役割があります。
交換のタイミングは見た目で判断できないため、アワーメーターの使用時間を基準に交換時期を決めましょう。
| 初回 | 新車使用後50時間 |
| 以後の周期 | 150時間〜200時間ごと(メーカーや機種による) |
オイルフィルターの交換は、以下の手順で行います。
1.オイルが完全に抜けた状態でフィルターを外す
2.フィルターと本機の合わせ面の汚れを拭き取る
3.新しいフィルターのOリングにエンジンオイルを薄く塗布し、固く締め付ける
エンジンオイル交換の「2回に1回」のタイミングで交換するとよいでしょう。
エアクリーナー洗浄
吸気口から入るホコリや泥などの異物を除去し、エンジン内部を保護する部品がエアクリーナーです。
目詰まりすると出力が低下したり、黒煙を吹き出したりなど、エンジン不調の原因になります。
洗浄は「使用時間50時間〜100時間ごと」を目安に行いましょう。
手順はエアクリーナーのタイプによって、以下のように異なります。
| エアクリーナーのタイプ | 手順 |
| スポンジタイプ | 1.エアクリーナーから中のスポンジを取り外す 2.スポンジをガソリンや灯油など(※)で洗浄する 3.スポンジにエンジンオイルをしみ込ませ、固く絞って取り付ける |
| ろ紙タイプ | 1.外周のスポンジと内側のろ紙を取り出し、別々にする 2.スポンジをガソリンや灯油など(※)で洗浄し、固く絞る 3.ろ紙を軽く叩く、もしくはエアを吹き付けて汚れを落とす 4.スポンジとろ紙を元どおりに取り付ける |
(※)メーカー指定の洗浄剤
メンテナンスの基本は洗浄ですが、汚れがひどい場合は交換を検討しましょう。
点火プラグ清掃・交換
点火プラグは、吸い込まれた燃料に引火させる役割を持つ部品です。
汚れや摩耗があると点火不良の原因となり、エンジンがかかりにくくなります。
プラグを取り外して電極部の状態を確認し、カーボンが付着している場合はワイヤブラシで清掃します。
電極が摩耗している場合は、交換が必要です。
点火プラグの交換は、以下の手順で行いましょう。
1.プラグキャップを外し、付属のプラグレンチでプラグを取り外す
2.ワイヤブラシで、電極部のススを取り除く
3.新しいプラグを取り付け、付属のプラグレンチで締め付ける
ヘッドのネジ山を破損するおそれがあるため、強く締めすぎないことがポイントです。
ミッションオイル交換
ミッションオイルは、走行部や油圧装置の動作に影響します。
交換を怠ると、動力伝達がスムーズに行われず、機械の寿命を縮める原因になりかねません。
ミッションオイルの一般的な交換頻度は、以下のとおりです。
| 初回 | 新車使用後50時間、または3年経過後 |
| 以後の周期 | 100時間ごと、または3年経過後 |
交換は、以下のポイントに注意して行いましょう。
●ガスケットの状態を確認し、傷んでいたら新品のものと交換する
●オイル量がレベルゲージの「上限と下限の間」にあることを確認する
●メーカー指定のオイルを使用する
田植え機は湿気の多い環境で保管すると、ミッションケース内に水が混入しやすくなります。
シーズンの終わりにオイルの状態を確認しておけば、翌年のトラブルリスクを軽減できるでしょう。
田植え機メンテナンスの点検チェックリスト
ここでは、田植え機の点検項目を部位別にまとめました。
自力でできる点検に絞っているため、定期的に確認しましょう。
●植付部
●施肥機
●エンジン部
●走行操作部
それぞれ解説します。
植付部
植え付け不良を回避するためには、以下のチェックが必要です。
●植付爪が摩耗・変形していないか
●植付爪とプッシュロッドの間に適度なすき間があるか
●プッシュロッドにガタつきがないか
●苗のせ台の支持シューが摩耗していないか
●シュー・レール部にグリスが塗布されているか
植付爪が3mm以上摩耗していたら、交換のタイミングだと判断できます。
部品を交換した際は、植え付けのタイミングが微妙にズレることがあるため、取扱説明書の基準線を確認して調整しましょう。
施肥機
田植え機に施肥機を取り付けている場合、この部分も適切にメンテナンスすることが重要です。
使用後は、タンクを外して洗浄し、肥料が残らないようにする必要があります。肥料が残っていると、それが硬化し、散布機の動きを妨げることになるからです。
清掃時の具体的なチェックポイントは、以下のとおりです。
●ホッパ内に残っている肥料を完全に取り除いたか
●ロールケースを分解し、各部分を水洗いしたか
●組み立てるまえに十分に乾燥させ、グリスを塗布したか
しっかりと、お手入れをしていれば故障やトラブルは減らすことができます。
■それでもトラブルが起きてしまった際はこちらをご覧ください。
田植え機のトラブル対処法~よくあるトラブルの原因や対策方法を徹底解説
エンジン部
エンジン部のチェック項目は、多岐にわたります。
こまめに点検しておきたい代表的な項目は、以下のとおりです。
●エンジンオイルの量は適切か、汚れていないか
●燃料ホースにひび割れがないか、継手部からオイル漏れがないか
●エアクリーナーのフィルターに汚れや劣化がないか
●バッテリーの外観に変形や破損がないか
●バッテリーの液量が上限と下限の間にあるか
●配線コードにキズがないか、ほかの部品に接触していないか
エンジンオイルやフィルターは、定期的な交換が必要です。
整備簿で交換時期を記録しておくか、交換のタイミングをあらかじめ決めておきましょう。
走行操作部
走行操作部は作業の安全性に直結する部分なので、不具合を見逃してはなりません。
始動前は、毎回以下の項目をチェックしましょう。
●ハンドルの遊び量は適切か、前輪タイヤと動きが連動しているか
●ブレーキが正常に作動するか
●走行変速レバーの入り具合がスムーズか
●タイヤの空気圧は適切か、亀裂がないか
●メインベルトに亀裂・損傷がないか
●ミッションオイルの量は適切か、汚れていないか
走行中に少しでも違和感を覚えた場合は、重大な事故を防ぐためにも、すぐに点検や整備を行うことが大切です。
田植え機の保管方法
洗浄とメンテナンスが終わったら、次は田植え機の保管方法について考えるべきです。ここで重要なのは、機械が直接風雨にさらされない場所に保管することです。
長期間の保管に際しては、錆や劣化を避けるために、機械をカバーすることも検討してくだ
さい。
田植え機のメンテナンスでよくある質問
田植え機のメンテナンスに関連する質問の中から、とくに重要な以下の内容に回答します。
●田植え機の爪の交換時期はいつ?
●田植え機の寿命はどれくらい?
それぞれ見ていきましょう。
田植え機の爪の交換時期はいつ?
田植え機の爪は「3mm以上」摩耗していたら、交換のタイミングです。
新品の爪と比較できないときは、各メーカーが示している判断基準に従いましょう。
摩耗した植付爪を使用すると、植付姿勢が乱れて浮き苗や転び苗、欠株の原因になります。
自分で爪を研いで再使用した場合でも、もとの植付性能には戻らないため、摩耗を確認できたら新品と交換することが大切です。
交換の適正なタイミングは、メーカーや機種によって異なります。
取扱説明書やメーカーの公式ホームページで、詳細な情報を確認しましょう。
田植え機の寿命はどれくらい?
田植え機は、500時間前後使用すると大きく劣化するといわれており、トラクターやコンバインよりも寿命が短い傾向にあります。
ただし、使用時期が限定される農機具であるため、数年で寿命を迎えてしまうことはほとんどありません。
使用時間が200時間を超えてくると、部品の劣化やオイル漏れが生じることもあるでしょう。
しかし早期の段階で対処すれば、軽微な修理で復活し、そのあとも問題なく使用できます。
寿命を延ばすためにもっとも大切なことは、定期的な点検・メンテナンスです。
多くの田植え機は、法定耐用年数が7年と定められていますが、丁寧に扱っている機体はそれ以上に活躍してくれる傾向にあります。
関連記事:コンバインのオイル漏れが発生したら?部位や原因・対処法を解説
まとめ
田植え機の適切なメンテナンスと洗浄は、その寿命を延ばすために必要不可欠な作業です。
手間がかかるかもしれませんが、これらの機械は我々農家の生活にとって非常に重要な役割を果たしています。
長期間にわたる農作業は、体力的にも精神的にも厳しいものです。だからこそ、我々が使う機械が常に最高の状態であることが、我々自身の生産性を保つために重要なのです。
この記事が、皆さんの田植え機のメンテナンスと洗浄についての理解を深める一助になれば幸いです。
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