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農業をしない人の農地相続について解説!届出の手順や注意点も
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自身が農業をしていない人でも、家族が農家を営んでいる場合には「農地相続」の対象になることがあります。農地はそのままでは利用しづらいし、保有しているのに税金や維持費もかかりますし、相続を受けるにも税金がかかるので困ってしまいますよね。この記事では、農地相続における基本的な知識から具体的な手続きの詳細や、農業をしない人ができることを解説します。農地相続を受けて、農地の利用方法や処理方法に困っている人は是非参考にしてください。
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農地相続のメリット・デメリット
農地相続には、さまざまなメリットとデメリットが存在します。それぞれの側面を理解して、相続すべきか、相続後にどのように手続きすべきかを検討しましょう。
農地相続のメリット
農地の相続には、以下に挙げるような様々なメリットがあります。
メリット1:農業経営ができる
農業に従事する人やこれから農業を始めようと考えている人にとっての利点は、農地を相続することで農業経営を行うことができるという点です。農業を志す人が、農地を手に入れるためには購入または借りるしかありません。しかし、これらには費用がかかり、また適切な条件の農地が手に入るとは限りません。それに対して、農地を相続すれば、農地の購入や借り入れの必要がなくなります。
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メリット2:相続税や固定資産税が少なくなる
税金の面でも、農業を行う人にとっての利点があります。農地の相続に関しても、他の土地の相続と同じように相続税が発生します。しかし、農業を営む相続人が農地を受け継ぐ場合、相続税の納税猶予制度を利用できることがあります。農地を実際に活用することで相続税の支払いを回避できますし、また固定資産税も農地として使用する場合には軽減されます。これにより、農業を営むことで税金負担を軽減できるのです。
メリット3:不動産が手に入る
農業を行わない相続人であっても、農地を相続する機会があります。農地を相続しても、必ずしも畑や田んぼとして使用する必要はありません。相続後、その土地に住宅やアパートを建てるか、駐車場に転用するなど、別の用途に転用することが可能です。農地も農業以外の目的に活用できることは、大きな利点です。また、その土地の価値が将来的に上昇する可能性があるなど、不動産を手に入れることで金銭的なメリットを受けられることがあります。
農地相続のデメリット
農地を相続するには、デメリットも存在します。農地を相続することになった人は十分注意しましょう。
デメリット1:相続税や固定資産税が発生する
農地の相続時には、その土地の評価額に基づいて相続税を支払う必要が生じます。特に、農業に従事していない相続人が農地を相続する場合、相続税の納税猶予制度を利用することが難しいことがあります。このため、相続税の負担が大きくなる可能性があり、慎重な考慮が必要です。また、その後発生する固定資産税は、土地の地目ではなく実際の利用状況によって変動することに注意が必要です。従って、農業を行っていない土地であっても、固定資産税の支払いが高額になるケースがあります。
デメリット2:維持費が発生する
農地だけでなく他の土地を相続した際にも、その土地の適切な管理が求められます。特に農地の場合、草刈りや雑草の除去、農道や用水路の保守整備などが必要です。これらの管理を怠ると、周囲の農家に迷惑をかけてしまう可能性があります。したがって、耕作を行っていない状態でも放置はできません。自己管理が難しい場合は、管理業者に費用を支払う必要が生じます。
デメリット3:転用できないことがある
農業を行わない相続人が、「農地を他の用途に転用すればいい」と考えるかもしれませんが、農地の転用は容易ではないことに注意が必要です。転用可能な地域であっても、農業委員会の許可が必要な場合があります。また、農地の位置する地域によっては、転用自体が制約されていることがあります。したがって、農地を相続しても、自由に転用できない場合があるので注意が必要です。
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農地を相続するのに必要な手続き
農地相続には、一定の手続きが求められます。これらの手続きを正しく行うことで、スムーズな相続手続きが実現します。
手続き1:法務局での相続登記
農地の相続時には、不動産の所有者情報を変更する手続き(所有権移転登記)が、該当する法務局で必要です。農地の取得には通常、農業委員会の許可が必要ですが、法定相続人の場合は許可不要です。ただし、非法定相続人が農地を相続する際には、農業委員会の許可が必要です。
相続による不動産取得の所有権移転登記には登録免許税がかかり、金額は「固定資産税評価額×0.4%」です。必要な書類として、被相続人の戸籍謄本・住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本を提出することが必要です。遺産分割の際には、「遺産分割協議書」または遺言書を添付する必要があります。不動産登記は所有権の確定やトラブルの防止に寄与します。
詳細な手続き方法の確認や実際の申請は、各都道府県の法務局HPにて行いましょう。
手続き2:農業委員会への届出
農業委員会は、農地に関する業務を行う法定の機関です。食料供給に重要な農地の利用に関して、乱開発や住宅化を抑制する監督機能を果たしています。
従って、所有権の変更(売買や相続など)がある際には、農業委員会へ届け出る必要があります。相続による農地取得の場合、届出期限は「被相続人の死亡後10か月以内」となります。相続登記から10か月以内に届け出ることを忘れないようにしましょう。届出の怠りや虚偽情報提供には、「10万円以下の過料」が科せられる可能性があります。
農業委員会は基本的に市町村ごとに設置されていますが、小規模な地域では設置されていないこともあります。その際は、自治体に問い合わせて担当部署を確認できます。
農地の相続届出には、指定の書類と相続登記証明書が必要です。相続登記証明書は法務局から取得し、それを使って農業委員会へ届出を行えば、時間と手間を節約できます。なお、農業委員会への相続届出には手数料はかかりません。
詳細な手続き方法の確認や実際の申請は、各市町村の法務局HPにて行いましょう。
農業しない人が行なう手続き
農地を相続した人が「農業をやらないから農地はいらない」との意向がある場合、土地の有効活用や相続選択肢の検討が必要です。土地保有には固定資産税や維持費が発生します。草刈りや建物の維持管理が必要で、無用な迷惑や治安の悪化を避けるためにも注意が必要です。特に遠方の農地を管理するのは難しいです。したがって、農地の活用方法を検討し、必要に応じて売却や転用を含めて考えることも重要です。農業を行わない相続人の選択肢には、大きく次の3つの方法があります。それぞれのメリット・デメリットと注意事項を説明します。
手続き1:売却
相続した農地を農地として売却する方法です。農地の売却は厳しい規制があり、営農計画を持つ個人や農地所有適格法人に限られます。農業委員会の許可も必要です。市町村の担当課に相談すると売却先の紹介が受けられます。
手続き2:転用
農地から宅地などに転用し、賃貸物件や住宅地として利用する方法です。農地以外の用途への転用には農業委員会の許可が必要です。市街化区域での転用は容易ですが、許可が難しい場合もあります。
手続き3:相続放棄
転用や売却が難しい場合は、相続放棄を選択することもできます。ただし、放棄の意思表示は早急に行う必要があり、すべての相続権を放棄することとなります。
農地の転用
農業をしない人にとって、農地を転用して宅地など他の目的で土地を使用することは、有力な選択肢の一つです。ここからは、農地転用について少し掘り下げて解説します。
農地転用とは
農地転用とは、農地を農業以外の目的で使用する許可を得ることです。
農地転用できる土地
農地転用できる土地は、「第2種農地」または「第3種農地」に該当する土地です。これらは、下記のような土地のことを言います。
第2種農地
「第2種農地」とは、生産力の低い小規模未整備の農地や市街地への転換が考えられる農地を指します。これらの土地は農業の生産性は低いものの、無活用ではないため、転用の際には一定の条件があります。その条件の一つは、周囲の土地を転用してもその地域でしか有効でないということです。このような条件をクリアするためには、申請時に関連する書類を提出し、それを審査してもらう必要があります。審査に合格すれば、第2種農地は転用可能ですが、その際には条件が付されます。要するに、第2種農地は条件つきで転用が認められることを理解しておいてください。また、一般的な基準も満たす必要があります。
第3種農地
「第3種農地」と呼ばれる区分では手続きの際に条件は必要ありません。第3種農地は、例えば鉄道の駅から300メートル以内に位置し、公共施設や公益的施設が整備されており、市街地や市街地化の傾向が顕著な農地を指します。
要するに、第3種農地は、農地の転用によって利益を生み出す可能性が高いと評価されるエリアです。そのため、第3種農地を所有している場合、転用手続きが比較的容易な状況にあると言えます。ただし、こちらも特定の「一般基準」を満たす必要がある点に注意が必要です。
農地転用できない土地
農地のすべてが転用できるという訳ではなく、下記の条件に該当する土地は農地転用ができない、または条件付きでのみ転用が可能になります。
農用地区域内用地
通常、「農地利用エリア内用地」とされる土地は転用が制限されます。ここでは、市町村が設定する農業振興地域整備計画に基づき、「農地利用エリア」として指定された地域内にある農地のことです。
これは非常に生産性の高い農地であり、評価が最も高い部類に位置します。したがって、転用を実施するためには、農業振興地域からの除外を申請する必要があります。ただし、この条件を満たすのは非常に難しく、実際にはほとんどが諦めざるを得ない状況です。
甲種農地
所有している土地が「特別等級農地」の場合、転用は困難です。これは、市街化調整区域内で土地改良事業が過去8年以内に行われた農地を指します。前述の第1種農地と同様の評価がされます。
したがって、この種の農地は、卓越した農業条件を備えているため、転用の許可が難しいです。ただし、いくつか例外も存在しますので、詳細については以下を確認してください。
第1種農地
「農地利用エリア内用地」と同じく、もしくは「特別等級農地」と同じような評価がされるのが「第1種農地」です。この種の農地は、100,000平米以上の集団農地であり、土地改良事業などの対象となったものを指します。そのため、非常に優れた農業条件を有しており、転用の許可が難しいです。
ただし、「特別等級農地」と同じように、いくつか例外が存在します。自身の土地がこれに該当する場合、以下を詳しく確認してみてください。
例外的に転用可能になることも
実は、特別等級農地と第1種農地も、転用後の用途や目的に応じて例外が認められることがあります。例えば、農業施設や農作物の加工・販売を行う施設、土地収用事業の承認を受けた施設を設立する場合などです。
また、500平米以下の集落に接続する住宅などの目的でも、転用が許可される場合があります。あなたのケースが該当するかどうか、調べてみることをおすすめします。
農地転用に必要な手続き
農地の転用に関する手続きは、以下のように土地の面積によって異なります。
- 面積が4ha以下:農業委員会に申請書を提出
- 面積が4haよりも大きい:都道府県知事から農林水産大臣の許可取り
また、例外的に「農業経営基盤強化促進法」に該当する転用方法の場合は許可すら必要なくなります。どの条件に該当するか迷った場合は、市町村等に設置されている農業委員会に相談しましょう。
農地相続でよくあるトラブル例
農地が相続に組み込まれると、通常より多くの手続きが必要となることがあります。相続人同士でのトラブルの可能性もあるかもしれません。以下に代表的な3つのトラブルパターンを説明します。
トラブル例1:後継がいない
相続人全員が農業を行わない場合、誰も農地を相続したいと望まないことがあります。近隣に耕作希望者がいれば貸し出すこともできますが、見つからない場合、農地は放置されてしまい、荒れ地になる可能性があります。
トラブル例2:相続税が高額になる
農地も相続税評価額が高くなる場合があります。特に市街化区域内で転用が可能な農地は評価額が上がり、相続税も多額になることがあります。不安な場合は、税理士に相談することが良いでしょう。
トラブル例3:遺産分割協議がまとまらない
不動産が相続財産に含まれる場合、相続人名義の変更には登記申請が必要です。相続登記は手続きが必要で、放置すると権利の変更が行われません。また、相続人の数が多いほど遺産分割の協議が難しいこともあり、最悪の場合は親子や兄弟で揉めることになるので早めの手続きをおすすめします。
農地相続でよくある疑問
農地相続に関する疑問や不安も多いですが、これらをクリアにすることでスムーズな手続きが可能となります。よくある疑問に対する解答を解説します。
Q1. サラリーマンでも農地相続できる?
サラリーマンなどの、農業をしない人でも農地を相続することは問題ありません。農地所有者が亡くなった場合、疑問になるのは、農業をしない人でも農地を相続できるかということです。農業をしない人が農地を相続しても、直接農業を行う予定はないため、制約があるかもしれないと思われることでしょう。しかし、農業をしない人でも農地を相続することは問題ありません。農地の相続は相続人に制限がありますが、農業をしているかどうかは関係ありません。
Q2. 農地相続はいつまでにやる?
また、農地相続に際しては農地法の許可は不要ですが、農業委員会への届け出が必要です。農業委員会への届け出期限は、相続が発生してからおおよそ10ヶ月以内です。この10ヶ月の期限を守らない場合、10万円未満の罰金が科せられることがあります。この期限が設けられている背景には、農地の相続が長期間放置されることで、「耕作放棄地」として不明瞭な所有権を持つ地が増える恐れがあるからです。
まとめ
農地相続は複雑な手続きや様々な要因を考慮する必要があります。本記事では、農地相続の基本的な情報から具体的な手続きやトラブルの回避方法まで詳細に解説しました。農地相続においては、専門家のアドバイスを受けたり、関係者とのコミュニケーションを大切にすることで、円滑な相続手続きを進めることができるでしょう。
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